図書館情報資源概論試験(2022 近大通信司書)

科目終末試験

2022年6月にweb受験した「図書館情報資源概論」の科目終末試験の問題と解答例になります。

見直せば修正したい箇所は多々ありますが、試験で実際に提出したものをそのまま掲載させていただきます。少しでも参考になればと思います。

*注* 解答例の丸写し提出は大学より禁止されていますので、参考程度に留めて下さい。

「図書館情報資源概論」科目終末試験〜2022年6月問題〜

書物の歴史について解説し、現在の書物はどのような方向性に向かっているのか、説明してください。

*字数制限なし

「図書館情報資源概論」科目終末試験〜解答例(89点)〜

 長い歴史の積み重ねの中で、人類は知識や情報を残していく手段として、その土地特有の様々な材料を使って文字や画像を記録してきた。人々は記録することで他者との相互の情報伝達を行い正確な情報として後世へ伝えていくことができる。また、媒体に記録された内容が普及するには、複製技術の進展が不可欠である。

(1)書物の歴史

 人類の社会や文明が確立される以前の人々のコミュニケーションは文字をもたない口承伝承から始まった。文字が誕生してからは、何らかの媒体に書くことで情報が記録されてきた。

 人類の惣明期に、住み場所が洞窟であった人々が初めて情報を記録した「洞窟壁画」がある。また紙がない時代には、それぞれの土地で入手できる材料を用いて情報を記録してきた。メソポタミア文明では、楔形文字で粘土板を用いて自分たちの言葉を記録として刻み保存した。エジプト文明では、カヤツリグサの一種であるパピルスが大量にとれ、これを加工し文字を書いた。ヨーロッパではヴェラムが普及し、羊や山羊などの皮を利用したものをパーチメント(羊皮紙)と呼ぶ。中国では占いのために、動物の骨を焼いた甲骨文字が用いられ、竹簡や木簡を記録媒体とした。このように紙がない時代には、その土地で採れる特有の材料、石やパピルス、動物の骨や皮、竹や木材等、様々な媒体に情報が記録された。

 中国(後漢時代)において紙が発明され、シルクロードを通り1000年〜1900年かけてヨーロッパに製紙技術が普及した。日本では610年の推古天皇の時には中国の製紙術が伝わったとされている。また近代、1455年ドイツでグーテンベルクの金属活字による活版印刷術が発明された。印刷技術の普及により、大量複製が可能となり、19世紀後半は、ヨーロッパの市民の地位の確立や印刷技術の発達とともに本への需要はますます高まった。

(2)紙の種類と生成法

 日本では、明治時代以前までに刊行された写本や版本のことを和古書と呼ぶ。和古書は、最初に執筆した作品から多くの写本が作られた。日本ではもともと和紙で作られていたが、明治の文明開化と共に洋紙が使われるようになり和紙は衰退した。書籍の多くは上質紙であり、中質紙は雑誌に使用されていることが多い。1970年代に入り、活版印刷からオフセット印刷に変化した。オフセット印刷は一般書籍などに使用され、カラー写真が鮮明のため多色刷りに向いており、短期間に大量印刷できるようになった。

(3)現在の書物

 2010年は「電子書籍元年」といわれ、Apple、Amazon、Google等が、次々に電子書籍デバイスを販売し、書物の歴史に大きな影響を与えた。また各社が提供するプラットフォームが様々な形で顕在化している。情報環境を取り巻く諸相が大きく変わり、書物は紙媒体から電子媒体へ移行し、一つ一つの物としての存在を失い、情報を携えた資料類はネットワーク情報資源と呼ばれるようになった。これらは今やインターネットを基盤とするコンピュータネットワークを介して探索、入手、利用可能な情報資源となり、電子書籍電子ジャーナルに加え、古文書などを電子化したデジタルアーカイブ、インターネットで提供されているデータベース、ウェブ公開されている電子資料、ウェブページ、SNS、ウェブ配信の動画など多様化している。

 書物の形態、内容は長い歴史の中で大きく変化してきたが、書物としての普遍的特徴は存在する。最も明確な特徴は、コミュニケーションの道具として役立つことを目的とする点である。第二に、内容を伝えるために文章や絵、記譜法のような視覚的シンボルを用いること、第三に、実際に流布させるために出版するということである。現在、書物とは、大衆への流布を意図して比較的簡単に持ち運べるように、軽く耐久性がある素材に書かれた相当の長さのメッセージと定義される。この進化の基本的な目的は、携帯性と耐久性という能力を付加することで、読書のできる社会において知識と情報を人びとに発表し、説明し、保存し、伝達することである。これらの特徴は、どのような媒体になったとしても維持されるのである。

(1689字)

感想

「科目終末試験問題」に類似問題がありませんでしたが、先輩方のブログで過去問として情報を得て準備していた内容でしたので、関連部分をピックアップしながら、概ね落ち着いて解答できたと思います。

現在の書物までのことは記載していますが、今後についての記載が少なかったな、と反省します。

よう
よう

89点ということは、不足した文章や間違った記述があったのではないかと思います。なんとかフィードバックを受けられたらな、と思います。

司書の学習を進め知識を深めていけば、振り返ったときにその過不足がわかるようになるでしょうか。将来の自分に期待します。

よう
よう

「情報」という言葉が入っている科目の試験では、唯一「優」をとれた科目でした。概論であったため、他の科目でも共有できる部分があり、内容は比較的すんなり入ってきました。

試験で使った参考資料

「図書館情報資源概論」を受験するために必要なレポートについては、別で記載しています。

科目終末試験について、総論的なことを記載しておりますので、参考になれば幸いです。

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